九月が永遠に続けば

沼田まほかる
長編サスペンス 2005年 新潮社
人の心がホラーになる ★★


夫と離婚して高校生の一人息子と暮らしている「私」。
ある夜、息子はゴミ出しに行ったきり行方不明になる。次いで「私」の若い恋人が駅のホームで転落死。その男は、離婚した夫の現妻の娘の交際相手でもあった。関係者を訪ねて息子の捜索に奔走するが・・・。

「ホラー大賞」という文字がちらっと目に入ったので、ホラーだと思い込んで読み始めた。不気味な印象がないわけではないが、超自然な要素は出てこないし、なんか変だなーと首を傾げつつラストへ突入。
なあんだ、「第5回ホラーサスペンス大賞」、つまりはサスペンスの側だったのか。大賞だけあって、シンプルな話なのに、読ませる筆力は認める。

でも魅力は薄い。
ストーリーは大仰に進むが、つまるところ「そそる謎」のようなものは何もない。ゴミ出しで子どもひとり失踪だなんて、蒸発おじんじゃあるまいし、もっと劇的な状況を作るのもテクニックさ。

売りがあるとしたら、キャラクターか。
複雑でドロドロした人間関係や、微妙に気持ちの悪い近所のおっさんなど、設定を細かく練っている。
さしたる必然性なく後味の悪い話であり、2度とかかわりたくない気分にさせられるのは、それらキャラクターのせいではなかろうか。生きている迫力が足りないのである。
自分の作り出した人々に愛情を感じていないようである。それはストーリーにも影響を与えるであろう。
最終的にどうでもいいような人物にほっかぶせて収めてしまった安易さにもしらける。
2008年04月20日 15:16 by 蕪  ※(0)  虎(0)  ミステリ・推理
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