黒い森

折原一
ミステリ 2007年 祥伝社
安定感に一票 ★★☆ミ


惨劇の山荘を目指して樹海の中に入り込んだミステリーツアーの一行は、いずれもいわくありげな暗さを背負っている。その中でひとり胸をときめかせている美女樹里は、恋人に会うために参加したのであった。途中には首吊り死体などがあり、メンバーは散り散りになって、山荘では大量殺人・・・。はいはい。

つくづく樹海の好きな人だなあ。おかげで始めのうちは既読かと錯覚してしまいそうになる。
で、ふと思った。樹海は自殺志願者が引き寄せられる場所らしいが、そこで死ぬのは何死? 凍死はともかく餓死はつらいよね。
わざわざ出かけなくても、家の近くのビルから飛び降りれば楽なのに〜と第三者。

それにしてもノーテンキな小説。
とことん安易で非現実な設定、いいかげんなストーリー展開、単純で薄っぺらいキャラクター。

ツアーの目的は最初から露呈している(別に隠そうとしていない)。
裏表二部+袋とじという凝った構成も、例によってさしたる必然性は感じられない。一本建てで進めても、じゅうぶん読ませる話にはなったろう。ダブった描写でサスペンスを盛り上げるつもりだった? (ついでに稿料水増し)

結果的に、それらもろもろあわせてわたくしの好みなのである。もし登場人物が陰影に富む複雑な性格だったりしたら、それこそ違和感があふれて読みにくいに違いない。
ラスト、もうひとひねりの余地もあったと思うが、このあっけらかんさがよろしい(としておく)。

ロバート・B・パーカー(ハードボイルド)を最初に読んだとき、解説に『偉大なマンネリズム』と評されていた。ほめ言葉らしい。たまたまそれが性に合わず、パーカーはほかに読む必要がないとわかったのであった。

折原一はとりあえず新作があれば必ず読むことにしているひとりで、それも偉大なマンネリズムゆえ。
2008年04月02日 23:09 by 蕪  ※(0)  虎(0)  ミステリ・推理
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