乱鴉の島

有栖川有栖
ミステリ 2006年 新潮社 ★★☆


間違って、あるいは導かれて、カラスの島へ上陸してしまった火村とアリス。
そこで隠遁生活を送る高名な詩人、海老原瞬を慕って集う怪しげな人々。そしてお定まりの連続殺人。

ケータイがうじゃうじゃ普及してしまった現在、電話線が切られて連絡不能という状況を作るには、もはや孤島くらいしかありやせん。切断された電話線への対処法に関する疑問(電気コードのようにつなげられないのか?)は毎度わきおこるのであるが、これもお約束事として容認しておこう。

ハナシとしては読めるし、面白い(一般小説にすればよかったのにね)。
だけど、ミステリとしては「致命的につまらない」と断言したい。
理由? 殺人法がありきたりで、トリックというほどのものもないこと。動機がかなりチャチなこと。

それでも「人」が充実していれば補えよう。しかしキャラクターの魅力が足りぬ。狭い島なのに、どうでもいいような人々が多すぎて、区別もつかず(つかなくても差し支えないほどの軽さ)。
少数でも犯人当てが難しいのが、よくできたお館モノであるぞ。

それぞれ巷に実在する「誰やら」をモデルにしていそうな、あくの強い人物が出てくるのが、かえって安易さを浮き彫りにしているようでもある。モデルとなった人の記憶は2年も経つと人々の脳裏から消えてしまうであろう。
なによりも、「高名な詩人」とやらが、人々をそれほど動かすことのできるカリスマ性を持つと納得できるように描けていないので、核となる真相が絵空事っぽいのである。

下敷きにポー『大鴉』。
Nevermore... ふっとフレディの高い声がよぎる。
2008年03月25日 10:16 by 蕪  ※(0)  虎(0)  ミステリ・推理
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